井上組

「スポーク長の計算式」を書いていて疑問だったことが一つありました。それは「引っ張り側のスポークはHUBフランジの内側から入れ、外に出す(エルボアウト)」という法則です。これは自転車産業振興協会・技術研究所の井上重則氏が書いた論文から井上組と呼ばれています。しかし、なぜエルボアウトの方が剛性や耐久性に優れているのでしょうか。

Webで探してもこの論文はありませんでしたが、調べていくと国立国会図書館のデジタルコレクションとして近くの図書館向けデジタル化資料送信サービス参加館で閲覧可能だということでした。春日部図書館は参加しておらず、一番近いところは宮代町立図書館でした。
Web情報は玉石混淆なので、元の論文で確かめようと行ってきました。

主に目を通した論文は「車輪の組み方の話(スポークの通し方)」(1995.08 自転車技術情報 No.68) でしたが、科学的論理性をもった解析というよりも、経験値、あるいは試験結果から類推をしたという内容です。

唯一、論理的か?と思われたのは「内⇒外のスポークの場合、一度フランジの端部に接触してから、引っ張られるのに対し、外⇒内のスポークの場合、あや取り部分まで、何の障害もなく素直に引っ張られているためであろう。」というところですが、これとて、論理的に十分説明がつくとは思えません。

この論文は当時主流だったエルボインではなく、経験値や実験値からエルボアウトの方がスポーク折れが少ないので、これからはエルボアウトで組みましょうという主張だったと思えるのですが、どうでしょうか。

赤線は引っ張り側のスポークを示す。回転は時計回り。

こちらは反フリー側なので反時計回り。

追記 2015/03/11
タンジェント組のペアスポークで片方が引っ張り、片方が圧縮となる根拠を絵にしてみました。タンジェントというのは接線という意味ですから、話を単純にするためにスポークはハブに対して接線で書いています。
実際は純粋な接線ではないので、引っ張りと言っても圧縮成分はあり、圧縮と言っても引っ張り成分はあると思います。

自転車探検隊によると、「スポークには初期張力が与えられているため、それが緩むだけで、 圧縮力が働くまでには行かないようにしてある。そのためスポークは座屈しません。」だそうです。

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